初めてこのブログに来られた方は、以下の注意書きを先に読む事をオススメします。
また本ページは以下の「まとめ記事」の一部について詳しく解説した「詳細記事」となっています。
詳細「【初心者向け】ドローン農業で失敗しないためのコツ5選」←読んでいない方は先に読んでおく事をオススメします
なおこの記事は農家以外にも役立てられる内容になっていますので、非農家の方々にも読んで頂けると幸いです。
【初めに】農家ではドローンの真価が発揮できない!?
近年は農作業の効率化のためドローンを導入する農家が増えて来ています。
確かにドローンの導入は農作業の大幅な効率化になるため社会にとって望ましい傾向と言えるでしょう。
実際に私も農業の現場でドローンの導入が増えている事は良い事だと考えています。
しかし「農家のドローン導入」に関しては反対の立場です。
なぜならこのやり方ではドローンの真価が発揮できないからです。
ドローンの真価は発揮できるのは農作業代行のみ
ドローンを用いて効率的に農作業を行うには「農作業代行」という形を取る必要があります。
これは(非農家の)ドローン操縦士が、農家からの依頼を受けて農作業の代行をするスタイルです。
私は自己所有農地の作業のためにドローンを導入する方法では、効率的な農作業が実現できないと考えています。
要はドローンのポテンシャルを引き出すには「他人が所有する農地」で農作業をする必要があるという事です。
農地の「所有」について
ちなみにこの記事では何度か農地に関して「所有」というワードを使用します。
これについては農地を実際に購入して所有している場合だけでなく、農地を「賃借」している場合も含む事とします。
(逐一「所有又は賃借」と記載するのが面倒なため一括して「所有」と記載)
農家はドローン操縦士に依頼するのがベスト
ちなみに私はドローン操縦士の「新規就農」についても良くないと考えています。
このやり方では「他人所有農地」でなく「自己所有農地」で作業する事になるからです。
私は操縦士については「農作業代行」のみに専念するのがベストだと信じています。
参照(内部)「ドローン農業で『農作業代行』に専念すべき理由4選|初心者向け副業」
そのため農家についてもドローン操縦士に依頼をして、農作業を代行してもらうスタイルが最も望ましいと考えています。
つまり現在よく見る「農家がドローンを購入して自分の農地で作業する」スタイルに対しては反対の立場と言うワケです。
農家は何をすべきか?
農家が取るべき行動はドローン購入ではなく、操縦士に依頼した上で彼らが仕事しやすい環境を整える事だと考えています。
詳しい内容は本編で解説しますのでここ(導入文)では割愛します。
それでは本編に進みましょう。
①農家のドローン導入が望ましくない理由
農家にドローン導入をオススメできない理由はいくつかありますが、主な理由は(繰り返しになりますが)「ドローンの強みが発揮できないから」です。
ドローンの強みは広大な農地でなければ出せない
ドローンの強みは広大な農地に対して効率的に農作業ができる点にあります。
空から農薬・肥料・種苗をまく事ができるので、これらに関する農作業の手間や時間を大幅短縮できます。
要は対象となる農地が広ければ広いほどドローンを導入するメリットが大きくなるというワケです。
しかし裏を返せば作業する農地が狭ければドローンの恩恵を十分に受けられないという事になります。
日本の農家の多くは小規模
日本の農家の多くは広大な農地を持たない小規模な個人事業主です。
そのため彼らがドローンを導入しても効率化の恩恵があまり受けられません。
(補助金が出るとは言え)ドローンは何十万円もする高額なマシーンです。
狭い農地の農作業を効率化するために、そのような高額な機械を導入しても採算が取れるとは思えません。
広い農地を持たない農家が高額なドローンに投資しても(投資額を)回収できない可能性が高いでしょう。
自己所有である以上は「有限」
ちなみに広大な農地を持つ大地主や農業法人であっても採算が取れないリスクがあります。
どれだけ広大であっても「自己所有」である以上は作業できる農地が限られるからです。
とある農業法人が100ヘクタールの広大な農地を有していると仮定します。
しかし購入したドローンが1,000ヘクタールの農地で作業できるのなら、その農業法人はドローンのポテンシャルの10分の1しか引き出せていない事になります。
どれほど広大な農地でも「有限」である限りはドローンの真価は発揮できません。
農作業代行でなければドローンのポテンシャルは発揮できない
一方「ドローン農作業代行」であれば作業できる農地に一切制約がありません。
依頼人(農家)がいる限り作業できる農地は無限だからです。
もちろん(依頼が来ないリスクもあるため)強みを完全に発揮するのは難しいかもしれませんが、少なくとも「農地(の面積)による制約」からは解き放たれます。
そのため農家が自己所有農地に対してドローンによる農作業を取り入れたいのなら操縦士に依頼するのがベストです。
農家側にもメリットが大きい
ちなみに操縦士への依頼は金銭面でのメリットもあります。
農作業代行なら農家が負担するコストは作業する農地面積に応じた「作業報酬」のみです。
これにより農家のコストは作業報酬という「変動費」のみになります。
ドローン導入による「固定費(購入費用)」から解放されるため金銭的リスクが抑えられます。
もちろん「トータルコストを抑えられるかどうか」は不明ですが、少なくとも割に合わない投資で損をする事は無くなるハズです。
ドローン操縦士は農家以外の人がやるべき
そもそも操縦士になるなら農地を持っていない人の方が望ましいです。
まず作業できる農地に限度がないため収入にも上限がありません。
(時間的・体力的リソースは有限なので)無限に稼げるワケではありませんが少なくとも「農地(の面積)による制約」からは解放されます。
もちろん(農家がドローンを導入する場合と違い)依頼獲得のための努力は必須になります。
とは言え社会的ニーズの高い仕事なので、正しい方法で営業すれば依頼獲得も難しくはないでしょう。
ドローン操縦士の新規就農は最悪の選択!
このように「農地所有者がドローン操縦に手を出す」事はデメリットだらけです。
ちなみにこれと似通っているモノに「ドローン操縦士の新規就農」がありますが、こちらは更にデメリットが大きくなります。
まず新規就農でイキナリ広大な農地を賃借する事は不可能でしょう。
そのため狭い農地に対してドローンを導入する羽目になります。
当然ながらこれではドローンの強みを全く活かせません。
しかも狭い農地なので収穫できる農作物も少なくなり収入も頭打ちになりやすいでしょう。
更に新規就農はただでさえ多くの初期投資が必要になるハイリスク事業です。
参照(内部)「ドローン農業で『農作業代行』に専念すべき理由4選|初心者向け副業」
ドローン農業をやるなら新規就農は絶対に手を出すべきではありません。
この章の結論
とにかく「自己所有の農地」で作業する限りは、ドローンの強みを生かして農作業の十分な効率化を実現する事はできません。
ドローンを十分に稼働させてその強みを引き出すには「農作業代行」として活動する他ありません。
そのため小規模農家が各自でドローンを購入するやり方はお世辞にも効率的とは言えません。
②農家が取るべき行動3選
それでは農家は一体どういった行動を取るべきなのか?
ここからは「農家の取るべき行動」について紹介していきます。
大まかに分けて次の3つと考えています。
①ドローンスクールへの依頼
②ドローン操縦士が仕事しやすい環境を作る
③ドローンを導入した農家への依頼
それでは順に見ていきましょう。
【行動①】ドローンスクールへの依頼
農家がまずやるべき事は「ドローン操縦士への依頼」です。
近年はドローンスクールで必要なスキルや知識を学んでから現場に出る操縦士が増えています。
そのため最寄りのドローンスクールに連絡をして操縦士を紹介してもらうといいでしょう。
スクール出身の操縦士は一定のスキルや知識を学んでいるため信用できます。
しかもこういったスクール経由の紹介は(営業の手間が省けるため)操縦士にとっても有難い話です。
仕事がいっぱいで手が回らない限りは基本的に断られる事はないでしょう。
ドローンスクール側にも大きなメリット
ちなみにこういった紹介はドローンスクール側にとっても有難い話になります。
なぜならスクールに依頼をくれる農家が多ければ、そこの卒業生が仕事を取りやすくなるからです。
「ここは多くの農家を紹介してくれるから仕事が取りやすい」
「多くの農家からスクール経由で依頼が取れるから営業の手間が省ける」
このようにスクールの評判を上げる事につながるので入学者の増加が期待できます。
つまり「農家がドローンスクールに操縦者の派遣を依頼する」事は全当事者にとってメリットがあると言えるのです。
【行動②】ドローン操縦士が仕事しやすい環境を作る
農家はドローン操縦士が作業しやすいよう工夫しておく事も必要です。
いくら農家からの依頼が操縦士らにとってありがたいモノでも、現場が気に入らなければそれ以降来てくれなくなる可能性もあります。
(気持ち良く仕事ができない・割に合わないなど)
下手をすれば(ドローンスクールや操縦士の間で)その農家や地域の評判が悪くなり、操縦士の派遣を拒否されるようになるかもしれません。
(スクールとしても評判の悪い農家や地域には仕事を紹介したくないハズ)
まずは操縦士らやスクールに対する気遣いなどを欠かさないようにするべきでしょう。
作業効率を上げられる仕組み作り
気遣い以外にも創意工夫はいくらでもあります。
それは操縦士が「一度に広範囲の農地を作業できるようにする」事です。
操縦士はその地域の人間ではないため作業の度に来訪してもらう事になります。
そのため一度に広範囲の農地を作業できた方が効率的です。
依頼日時を合わせるだけでOK!
やり方は「近隣農家と連絡を取って依頼の日時を合わせる」だけです。
これによりその一帯のドローン農作業代行の日時を合わせられます。
「農作業代行に依頼してみないか?」と誘って操縦士の依頼を増やしてあげるのもいいでしょう。
要は農家同士で連携して足並みをそろえるというワケです。
これによりドローン操縦士の作業がラクに効率化できます。
【行動③】ドローンを導入した農家への依頼
ドローンスクール経由以外にもドローン操縦士を探す方法はあります。
それはドローンを購入した「農家」への依頼です。
(ここまで何度も述べて来た通り)農家がドローンを購入するのは本来望ましくありません。
しかし既に購入してしまった農家は一定数存在するハズです。
そして彼らの多くは「自己所有農地での作業だけではドローンの性能を持て余す」と気付いている事でしょう。
つまり農作業代行の依頼はその農家にとっては「渡りに舟」と言えるハズです。
依頼すれば快く引き受けてくれるケースの方が多いでしょう。
(農家同士の人間関係は密接なのですぐに見つかると思います)
この章の結論
導入文の最後で述べた通り、農家が取るべき行動は「操縦士に依頼した上で彼らが仕事しやすい環境を整える事」です。
これにより全ての当事者が利益を享受できるでしょう。
まとめ
ここまで紹介して来たように、以下の理由から農家のドローン導入は推奨できません。
①ドローンは「自己所有の農地」で作業する限り強みを引き出せない
②強みを引き出すには非農家のドローン操縦士が「農作業代行」として活動する必要がある
農家がやるべき事は操縦士に依頼した上で彼らが仕事しやすくなるよう創意工夫する事です。
これにより農家・操縦士・ドローンスクールと全ての当事者がメリットを享受できます。
その地域の農家同士の連携がカギ
中でも(農家が取るべき行動として)重要なのが「農家同士の連携」です。
近隣農家全員で(ドローン農作業代行に)依頼したり、その日時を合わせたりするにはある程度一枚岩である必要があります。
ドローン農業に対する理解がない農家がいれば一気に連携が難しくなるでしょう。
日本の農業でドローン操縦士が気持ち良く仕事できるかどうかは農家のチームワークに掛かっているのかもしれません。